CASE2 錦城護謨株式会社

新視点での改良を重ね製品の可能性を広げる

知人から事業の二代目だけを集めた「二代目社長大学」を紹介されたのが美崎さんとの出会いでした。契約を依頼した動機は、製品の販売促進とPRのノウハウを学びたかったからです。
当社は通常、家庭用の電化製品から工業機械の部品まで様々なゴム製品の製造を手がけています。しかし数年前より、福祉関連事業として歩行誘導用のゴム製マット『歩導くんガイドウェイ』を開発。視覚障がい者向けの点字ブロックに代わる商品として販路の拡大を目指していましたが、なかなか成果が出ません。というのも今までは企業の依頼を受けて製品・部品を作るのが主な仕事。自ら売り込むスタイルの営業は未経験です。社員は熱意もあり、努力もしてくれているのですが結果につなげられない現状がありました。私たちの目標は2020年の東京オリンピック・パラリンピックに採用されること。時間をかけて社員を育成したい思いもありましたが、目標に到達するためには、スピードも必要。そこで美崎さんの知見と経験をお借りしよう、と決意したのです。『歩導くんガイドウェイ』は視覚障がい者が白杖や足裏の感触で柔らかいマットを確認し、目的地まで導くのが役割。点字ブロックのように凹凸がないため、車いすやベビーカーのユーザー、つまづきやすいお年寄りや子どもにも優しい商品です。難点は、使用者は視覚障がい者、受益者は親子連れやお年寄り、そして導入を決める決裁者は公共機関の担当者など一般の人、と利害関係が混在しているところでした。そこでまず美崎さんと着手したのは、サイズを変えて色数を増やすなど、建物設計時の導入を目指した建築デザイナー目線でのマイナーチェンジ。かんたんに設置と撤去ができることからイベント利用も想起し、表面のピクトグラムも表現の幅が広がる2ドットに変更しました。悩んでいた販売方法についても「アミューズメントパークに働きかけてみよう」「広告としても活用できる。広告代理店に紹介しては」など、自分たちでは思いつかない視点で具体的な提案をいただき、開発チームにも活力が生まれてきました。

盲学校での利用を実現新たな地平が見えてきた

大きな布石となったのは、新規参入が難しいとされる盲学校で使っていただけたことです。これもやはり「視覚障がい者向けの商品なのだから、盲学校で利用されると信頼が高まる」という提言から。長野県・松本盲学校の卒業式で聞いた利用者の声は「自信を持って歩くことができて気分がよい」など嬉しいものばかり。それまで今ひとつ効果をあげられなかったプレスリリースも、配布先の選定とタイミングを教えていただくことで、卒業式当日には新聞社やニュースの取材も訪れ多くの人の目に触れることとなりました。東京五輪が目標、とお話ししましたが、本当の夢は日本の物作りで生まれた福祉製品のよさを世界の人たちに知ってもらうこと。まだまだ道の途中ですが、夢を実現できるようこれからも歩みを止めず、努力を重ねていきたいと思います。


 

安全・安心な製品を広めるため販促の着眼点を学んでゆきたい

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代表取締役社長 太田泰造さん
前職を経て2002年に入社、2010年に同社の三代目として社長に就任。ゴム製品の可能性を広げるベく社員の指揮を執る。「自分の努力が数字に表れ、わない人の姿が見えるところが人生のようで好き」というゴルフが趣味。

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