CASE1 株式会社ミルボン様(課題と提案)

kadai

新製品の開発or既存商品の見直し
なかなか方向性が定まらない

人気の高い既存のカラーケア製品を見直すべきか、新たなニーズを掘り起こすべきか。どちらも重要な課題であるため意見がまとまらず、時間だけが経過していた。

【提案】

調査方法を見直して、新ターゲットを発見

得意先であるサロンの、さらに先にいるユーザー調査をすれば開発の糸口が見える、と美崎氏から提案。「調査の結果、注目度が低かった20代女性にヘアケアの潜在ニーズがあるのを発見。調査データから趣味嗜好やライフスタイルなどを紐解き、架空のユーザ像ペルソナを設定したところ、誰に向けて商品開発をすべきか社内視点を共有しやすくなり、会議の密度が向上。働く20代女性に向け、美容師がヘアケアを教える製品、というコンセプトが定まりました」(井ノ上さん)

記号を取り入れ接客の価値を効果的に演出

通常、ヘアケア製品は対象となる髪質を明記するのが一般的。「美容師がユーザーに合う製品を選んであげる、という付加価値を演出しやすくするため、あえて髪質を記号で表記しました。難しいことが苦手な20代でも、いったん自分がどちらのタイプか分かれば、次回以降はかんたんに選ベるのもポイントです」(井ノ上さん)

パッケージやリーフレットも20代女性に向けたデザインに。●はふんわり、♥はまとまりやすくと仕上がりの状態を記号で表記した。
パッケージやリーフレットも20代女性に向けたデザインに。●はふんわり、♥はまとまりやすくと仕上がりの状態を記号で表記した。

”カワイイ”を伝える販促ツールの活用

通常の包装に加え、販促用のボックスも投入。「社内では最初から箱に入っている商品を、さらにまた箱に入れる必要があるのかと問題提起もありました。しかし20代女性独特のカワイイもので気分が「アガる」感覚を重視。結果として店頭でのユーザー満足度を高める結果に」(竹渕さん)

店頭ディスプレイとギフト包装を兼ねたブック型の専用ボックス。購入ユーザーの満足度を高め、SNSなどでのクチコミを誘発する仕組み。
店頭ディスプレイとギフト包装を兼ねたブック型の専用ボックス。購入ユーザーの満足度を高め、SNSなどでのクチコミを誘発する仕組み。
20代の多くがスマホで情報収集する現状を反映。専用のブランドサイトを用意することで、スマホの画面でも見やすく、アクセスも容易に。
20代の多くがスマホで情報収集する現状を反映。専用のブランドサイトを用意することで、スマホの画面でも見やすく、アクセスも容易に。

スマホ世代に向けた専用サイトの制作

社内初の試みとして、企業サイトとは別のブランドサイトを制作。「ターゲットが働く20代女性と明確になったことで、スマホ対策が必須、という結論に。ユーザーの人物像を社内で共有できたため、コストをかける必要性も伝わりやすかったように思います」(竹渕さん)

ビジュアルで顧客である美容師とユーザー像を共有

商品のリーフレットもシンプルに一新。「技術を掘りさげる美容師向けの冊子、という位置づけをやめ、イラストや写真でターゲット像を分かりやすく発信。また泡「スルーシャンプー技術」など、フレーズから感覚的に使い方を理解できるように変更しました」(竹渕さん)

情報の多い、従来のサロン向けリーフレットを刷新。できるだけ文字量を減らし、イラストやキャッチフレーズで直感的に理解できるよう配慮した。
情報の多い、従来のサロン向けリーフレットを刷新。できるだけ文字量を減らし、イラストやキャッチフレーズで直感的に理解できるよう配慮した。

kekka働く20代女性に向けた新ブランドが完成
販売目標を大幅に上回る好調デビュー

2015年4月「ジェミールフラン」がデビュー。20代の女性の潜在ニーズをつかみ、当初の目標を大幅に上回る好調な初動を記録した。

美崎栄一郎の目線

2y7a7181商品開発の課題を通じて「ブランドマネージメントができる人材を育成する」のが今回の目的です。調査設計のコツからデータの読み解き方、ネーミングの手法、ブランドの世界観を商品や包装にどうつなげるか…多岐にわたるプロセスには必ず押さえるべきポイントがあります。視点を残さずに伝えるには、座学よりも実践で学ぶのが効果的との判断で、企画をカタチにするところからお手伝いしました。潜在マーケットを広げて既存の顧客にベネフィットを還元できる人材に成長しておく姿を見て、私自身も刺激を受けました。


背景

株式会社ミルボン
設立:1960年 資本金:20億円 事業内容:パーマ剤他ヘアケア製品、パーマ用器具類の製造・卸及び販売(国内、輸出)
本社所在地:大阪府大阪市都島区善源寺2-3-35
電話:06-6928-2331 WEBサイト http://www.milbon.co.jp